教室紹介

診療内容

肝臓・胆嚢・膵臓グループ

診療の特徴

ウイルス性肝炎の臨床研究

C型慢性肝炎の治療の進歩はめざましく、現在インターフェロンを使用しない内服薬である直接作動型抗ウイルス薬(DAA)が主流であり、非常に高い有効性を認めています。日本医科大学肝臓グループとしては積極的にこの治療を導入しており、また医師会や患者会を通じて啓発活動も行っています。全国でも常にトップクラスの症例数を経験しており、肝臓臨床研究グループでは、実臨床におけるC 型慢性肝炎の治療成績を様々な角度から解析し国内外の学会発表や英文論文の執筆活動をしています。7年連続国際学会(米国肝臓病学会、欧州肝臓学会、アジア太平洋肝臓学会など)に肝炎の研究成果を発表しており、国内でも数多くの研究成果を報告しています。英文論文もC型肝炎関連で当教室よりこれまで30編以上執筆しています。さらに現在、日本医科大学付属病院を中心として、国内の主要な肝臓専門施設との多施設共同研究も実施中であり日本医科大学が中心的な役割を担っています。また日本医科大学としてC型慢性肝炎の5つの新薬の国内第Ⅲ相試験に参加しました。

難治性腹水に対するバゾプレシンV2 受容体拮抗薬(トルバプタン)を用いた治療戦略

当科は難治性腹水、難治性食道静脈瘤に対して、高度先進医療として経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)を、1992年の導入以来210例に行っており、日本で最多の症例経験を有する施設です。特に薬物療法で改善しない難治性腹水に対し、半年間の観察では約80%に改善を得ています。しかしながら高度先進医療の適応でなくなり、現在、限られた症例にしか行うことができません。そのような中、難治性腹水に対するバゾプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンが2013年より保険適応となり、わが国における肝硬変の腹水治療戦略は大きく変化しました。ループ利尿薬は優れた利尿効果を示しますが、その⼀方で大量に使用すると腎機能低下をきたすことがあるため、腎機能が悪化する前にトルバプタンを導入した方が良いと考えられますが、未だそのエビデンスはありませんでした。そこで、従来の利尿薬との併用の方法やどのようなタイミングでトルバプタン使用したらよいか等、腹水患者に対するトルバプタンの効果や限界を明らかする国内の主要な肝臓専門施設との多施設共同研究も実施中であり日本医科大学がその中心的な役割を担っています。

胆道鏡(Spy Glassシステム)を用いた胆管疾患の診断、治療

胆道鏡は胆管狭窄や腫瘍性病変を直接観察し、NBIや直視下生検を行うことが可能であるため、胆道疾患の診断に有用です。また、除石困難な総胆管結石症に対しても結石を確認しながら砕石を行うことが可能であるなど、治療⾯でもその有用性が期待されています。当科ではSpy Glassシステムを用いて、さらなる診断能や治療成績の向上、新たな治療法の開発等の検討を行っています。

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